第30回ウクレレ・フェスティバル参加報告

――2000年7月30日(日) ホノルル・カピオラニ公園バンド・スタンドにて開催――

ポスターNUAとウクレレ・フェスティバル
1995年の第25回ウクレレ・フェスティバルにNUAから19名で参加した際に、主催者のロイ・サクマからは毎年 NUAから参加して欲しいという依頼を受けました。実際問題としてこれだけの人数が毎年参加できるか不明であったこ とと、参加するからにはそれなりの練習が必要であって毎月の例会以外にも練習のために時間が割ける会員がどれだけい るかが不明でしたので、5年毎の参加を逆提案して了承されました。 そして今年がその5年目の年に当たるので、昨年のNUA40周年行事終了直後より参加の準備を開始いたしました。

実は昨年のフェスティバルの際に、会場として毎年使用しているカピオラニ公園のバンドスタンドがフェスティバル終了 後取り壊しとなり、約1年かけて新築されるという気になる情報を得ました。なにしろ「ハワイアン・タイム」の本場で すので、この「約1年」が翌年のフェスティバルに間に合う「1年」かどうかでフェスティバルの開催が大きく影響され ることになる訳です。我々にとっては、もし開催日が定例の「7月最終日曜日」からずれてしまうと、参加者の予定も大 きく変わってしまうので、毎月のようにロイと連絡をとって確認を続け、「予定通り開催!」の回答が来てホッとした経緯もありました。

BandStandS.jpg今回はNUAメンバーに限定せず(前回も実質的には同様でしたが)「NUAと友人達」というコンセプトで参加者をつのったところ、関西からも岩本、木村両会員を中心に約20名の参加がありましたので、全体ではNUA会員と家族、友人を含めて50人以上の大グループとしてハワイへ乗り込むことになり、舞台で約30人が演奏し、20人の家族が応援するという楽しいイベントとなりました。会場は新装なったバンドスタンドで、以前の建物とは大きく異なり、何本かの柱に屋根が支えられた形状の風通 しの良さそうな円形奏楽堂といった印象の場所でした。

今回の4泊6日[ハワイでは7月27日(木)朝到着〜7月31日(月)朝出発という正味4日間]を順を追って報告いたします。

第1日(7月27日)ハワイ到着OhtasanS.jpg
フライトの関係で1時間はやくホノルル空港に到着した関空発の関西メンバーと成田発メンバーが合流して市内観光へ出発、ウェルカム・ランチの席上で各自が自己紹介をおこなうとともに、広島在住のNUA会員で一足早くハワイの生活をされていた加藤さんも加わり、今回のツアーはなごやかなスタートとなりました。
早速、この日の夜はメンバーがいくつかのグループに分かれて行動を開始しました。

まず、我々のホテル(クイーン・カピオラニ)で演奏を再開したオオタサンを聴きに行ったグループがあります。オオタサンの出演は毎週水曜、木曜だけですので、この日を逃すと滞在中には聴くことができない…ということで、かなりのメンバーがそちらに行きました。

もう一つのグループは隣のハワイアン・リージェント・ホテルでのパロロの演奏を聴きにいきました。こちらはオオタサンとは違い活気のあふれる演奏だったようで、皆さん感激して帰ってきました。

AcademyS.jpgそして第3のグループはハワイ・カイにあるジェイク・シマブクロの「ウクレレ・アカデミー」の見学に行きました。当初の予定ではすべてのレッスンが終了した7時ごろに訪問するようにという話でしたが、「是非レッスンも見て欲しい」というジェイクからの連絡があったので、はやめに訪問し、彼のレッスン風景と彼の弟ブルースの教室を見学することができました。ジェイクはレッスンが終了すると、我々の矢継ぎ早の質問に対して演奏を交えながらいちいち丁寧に答えてくれただけでなく、最後には「さくらさくら」を大変ユニークなアレンジで演奏してもらえたので、一同大満足で帰ることができました。

KamakaS.jpg第2日(7月28日)フェスティバルPR演奏の日
この日には午後4時からPR演奏が予定されていたので、それまでの間はふたたび幾つかのグループに分かれての行動となりました。 多数のメンバーが参加した「ウクレレ店廻りミニ・ツアー」は、何箇所かのウクレレ店へ行き、希望するウクレレがあった場合は購入するというツアーでしたが、ガイドの手配が良かったためほとんどのメンバーが無事にウクレレを入手されたようでした。そしてあの「カマカ」の工場の見学もできたので皆さんの収穫は大きかったと思います。

PureHeart2S.jpg一方、その日は金曜日で、ハワイでは「アロハ・フライデー」と呼ばれています。ちょうどこの日の昼時間にシェラトン・ワイキキのレストランでKINE局主催の「アロハ・フライデー・ランチョン・ライブ」と称する多数のハワイ音楽グループが出演するライブ(このライブはKINE−FMからナマ中継されていました)があり、そこへ数人で聴きにいきました。出演グループは、その日からベースが加入して4名編成となったピュア・ハート、日本でもおなじみのナレオ(ナ・レオ・ピリメハナ)そして若者に絶大な人気を誇るホヌアの三つで、それぞれことなるジャンルではありましたが大変楽しいステージでした。なかでも我々のお目当てのピュア・ハートの演奏は素晴らしく、特にジェイクが彼の歯まで使っての熱演は放送のリスナーには絶対にわからない「隠し味」でしたので大変感激しました。

MsurfriderS.jpgRegentS.jpgそして午後4時以降「フェスティバルのPR」を目的とした演奏をモアナ・サーフライダー・ホテルの中庭とハワイアン・リージェント・ホテルのプールサイドで実施しました。今回の我々は関西と関東とで別 々に練習を行い、合同でのリハー サルは翌日の29日に予定していたので、この日は「顔合わせ前」の状態でのPR演奏となり、十分な出来とは言えませんでしたが、このときに経験したいろいろな問題点を翌日のリハーサルで対応できたという意味では有意義な演奏でした。 特に、ハワイアン・リージェント・ホテルではジョイのネリー・トヤマがお遊びで一緒に唄ってくれたのが大変効果 的でしたので「是非当日も唄って!」と口説き、フェスティバルでの「飛び入り」が実現したのは大きな収穫でした。

第3日(7月29日)リハーサルとウェルカム・ディナー
Rehersal1S.jpgRehersal3S.jpgRehersal2S.jpgフェスティバル本番を明日に控えて、この日は午前中いっぱいをリハーサルにあてました。なにしろ別 々に練習してきた 関東と関西のメンバーがここではじめて合わせるのですから、いろいろと食い違いなどもありそうですし、現地の楽器店からレンタルした楽器やアンプの使い勝手も確認しておく必要があります。ホテルの会議室へ入ると、まさしく「会議」をするような机と椅子の配置でしたが、まずはその配置のまま着席での練習を続け、後半になってから机を後方に下げてつくったスペースに全員が立って演奏しました。日本で何度も繰り返して練習してきたのが功を奏し、3時間のあいだにほぼ出来上がったのでまずは一安心といったところ。

WelcomeDinnerS.jpgその夜は出演者全員が招待されたロイ・サクマ主催の「ウェルカム・ディナー」でしたので、それぞれアロハやムウムウを着用してシェラトン・ホテルのレストランへ行きました。ちょうどクウイポ・クムカヒのグループの演奏日であったため、NUA会員の木村さんのお嬢さんがこのグループで司会とフラで活躍している様子をたっぷりと拝見いたしました。レストランはビュフェ・スタイルとは言え、ロブスターやステーキからお寿司まで豊富なメニューでしたので、素晴らしい音楽を聴きながら楽しくすごさせてもらいました。

まだまだ「宵の口」ということで、このあとも皆さん各地に分かれて楽しんだようですが、数人のメンバーは毎週土曜日だけ演奏しているマヒ・ビーマーを聴きにプリンス・クヒオへいきました。5年前にウクレレ・フェスティバルで来たときには、マヒはウォ−ド・センターのアンドリューズというレストランで演奏していましたが、そのレストランの廃業後はこちらで演奏していて、ワイキキのホテルに泊まっている我々としてはかえって好都合でした。相変わらず年配のファンに囲まれての演奏で、途中からそのファンたちが代わる代わる登場しての唄が、いずれも素晴らしいのには驚かされました。最後にはギャリー・アイコやマカ・カワイフエのようなレコーディング・アーティストまでが唄うという豪華さに、夜の更けるのも忘れて楽しみました。

第4日(7月30日)ウクレレ・フェスティバル開幕
DannyS.jpgRoyS.jpg
いよいよフェスティバルの日となりました。例年ですと10時30分の「メイン・プログラム」開始のときに司会者のダニー・カレイキニが登場し、それ以前はロイが出演者の紹介をしているのですが、今年は10時の開幕時点からダニーが司会を担当していました。 まず、ウイラニ・ジャパンの有賀氏からこのフェスティバルを10月に日本でも開催する旨の紹介があったのち、トップバッターとして名古屋で2000人の生徒さんをお持ちのレイ小原氏率いる 「名古屋ウクレレ・クラブ」の演奏がありました。みなさん揃いのアロハで登場し、小原氏のメロディーに合わせて「さくらさくら」などを演奏されました。

NagoyaS.jpgE&LRitzS.jpg
続いてライル・リッツがソロで1曲弾き、次にお嬢さんのエメリーの弾く「ウエーブ」をライルが伴奏するという例年のパターンで演奏しました。


そしてNUAの登場です。

uluwehi1WS.jpgUluwehi2S.jpg
1曲めは「カ・ウルヴェヒ・オー・ケ・カイ」で、なんと若手女性4人のグループ「ジョイ」のネリー・トヤマが飛び入りでメロディーを唄ってくれたので、堀内、沢村両嬢のフラとあいまって大変盛り上がりました。

2曲めは「テキーラ」で、演奏まえに観客にも「テキーラ!」の掛け声をお願いしたところ、元気一杯の掛け声が掛かってこれまた大変盛り上がり、拍手喝采のうちにステージをおりました。

kinen1S.jpg日本で開催する「フェスティバル」にもこのままのスタイルで出演してとの話が早速舞い込みましたが、NUAはあくまでもアマチュアであって、入場料を払ったかたの前で演奏するのは失礼とお断りしました。


GarzaS.jpg次の演奏はカヌー・クラブのリーダー、スラックキー、キーボード、ウクレレ奏者で作曲家という奇才のダニエル・ホーのウクレレでしっとりとした曲を聴かせてくれました。 LangleyS.jpg続いては、すっかり常連となったカナダの高校生中心のグループ「ラングレイ・ウクレレ・アンサンブル」で、数年前からハワイアン音楽をたくさん取り入れるようになり、会場からおおいに受けていました。ビックリしたのは次に出演したガーザ・ブラザースで、まだ高校生くらいの少年トリオ(ウクレレ、ギター、ベース)なのですが、ジェイク・シマブクロ顔負けのテクニックでバリバリと弾きまくるウクレレに大喝采でした。

FesBandS.jpgメイン・プログラムに突入
ダニー・カレイキニが再度登場し、開会の挨拶、神への祈り、そして鼻笛(オヘ)による演奏と唄でメイン・プログラムのスタートの宣言です。そして、ここからは「板付き」の300名による「ウクレレ・フェスティバル・バンド2000」 が出演者の交代の合間ごとに演奏をしていくのですが、IgarashiTrioS.jpg昨年までと違って風通 しのよいステージなので彼らも快適に演奏できたのではないでしょうか。

トップバッターはこれまた常連の五十嵐氏と今村氏のコンビの登場で、今年はベースに加瀬氏も参加して2曲を演奏しました。フェスティバル・バンドの演奏に続いて幼稚園児のクラス「グループ#1」100名の登場。日本の運動会のようにカメラを持った父兄がいっぱい群がる中での「キラキラ星」などの演奏と唄が拍手を浴びました。

PaloloS.jpgいよいよパロロの登場ですが、なんとベースのネイザン・ナヒヌのかわりにキース・ヒラオカが加わっています。各地で実施された事前のデモ演奏ではネイザンが加わっていたので何かの事情とは思いますが、彼の人を食った司会が無いのがちょっと物足りませんでした。とは言ってもトロイ・フェルナンデスとチノ・モンテロの演奏は素晴らしいものでした。

JoyS.jpgフェスティバル・バンド、小学上級生による「グループ#3」150名に続いてジョイの登場です。まず、キャンディス・ナリマツのウクレレ・ソロがあり、続いて楽器を持たずに4人のコーラス、そして各自楽器を持っての演奏と多彩 なステ ージでした。ジョイはロイとキャシー夫妻の秘蔵弟子でもあるので、二人の力のいれようは大変なもので、私にも「どうだ、彼女たちはグンと上手くなったろ?」と嬉しそうでしたが、事実、昔のジョイとは雲泥の差がある好演でした。

MelveenS.jpgふたたびフェスティバル・バンドそして小学低学年の「グループ#2」160名に続き、大物ゲストのメルヴィーン・リードが登場しました。予告でメルヴィーンの名前を見た時には、当然唄を唄うのだろうと予想していましたが、なんと彼女はウクレレを抱えて登場し、「ラバー」などのソロ曲を楽しく弾きまくったのには驚かされました。

IngramS.jpgそしてグラミー賞歌手ジェームス・イングラムの登場です。彼は偶然ロイと知り合って以来、フェスティバルには何度も出演しており、5年前NUAが参加したときにも出演していました。今回の彼は受賞曲「サムホエア・アウト・ゼア」など3曲を朗々と唄ってくれました。

続いてはこれまた常連のモエ・ケアレがトリオで出演。彼のウクレレ・ソロと唄はいつもながら素晴らしい出来栄えでした。最近20年前のLPを復刻した彼のCDがリリースされ大変新鮮に聞くことができましたので、是非同様なコンセプトで(元気なうちに!)次のアルバムを作って欲しいものです。

IwalaniSchoolS.jpg 次は「イワラニ・スクール・オブ・ダンス」のたくさんの少女たちのフラが登場しましたが、残念なことにステージの下で踊ったためほとんどの観客はその踊りがよく見えなかったのではないでしょうか。

finaleS.jpg続いては全員がウクレレと唄という、今売り出し中のトリオ「イムア」の登場で、成人の生徒たち「グループ#4」80名と合同で2曲を演奏しましたが、我々NUAのメンバーもこの「グループ#4」に加わり、一緒に演奏いたしました。

KaauS.jpg最後に登場したのは再編成された「カアウ・クレイター・ボーイズ」で、ギターのアーニー・クルス・ジュニアを中心にウクレレとパーカッションのトリオになりました。このウクレレ奏者はBBショーンの名前で何枚かのアルバムを出しているショーン・イシジマで、盲目(BBはブラインド・ボーイの略)の彼はウクレレでもギターでも膝のうえに水平に置き、まるでスチール・ギターを弾くようにそれらの楽器を弾きこなしています。もともと彼はその弾き方でトロイ・フェルナンデスと瓜二つの演奏をすることで注目をあつめたので、今回の新生カアウ・クレイター・ボーイズのメンバーとしては最適な人選でしょう。

カアウが数曲演奏したのち、ふたたび彼らに「グループ#4」とNUAメンバーも加わって「ワヒネ・イリケア」を、そしてフィナーレの「ハワイ・アロハ」を演奏して4時間にもわたるウクレレ・フェスティバルの幕となりました。

以上がウクレレ・フェスティバルの内容ですが、実は数日前からハワイ諸島を直撃する構えでハリケーン「ダニエル」がやってくるという予報でしたので、当日の開催を心配していたところ、幸い進路がそれたためフェスティバルは快晴のなかで無事おこなわれました。会場には朝7時まえに行ったにもかかわらず、300席もあるベンチのほとんどが埋まっており、何席かを確保するのがやっとというありさまでした。メンバーの皆さんに対しては「遅くとも9時前に会場へ行って!」と伝えてあったのですが、9時はおろか8時でも座席はムリでしたので、この件は次回?の反省材料となってしまいました。
確かにロイの生徒だけでも800名を越えるのですから、それぞれ一人ずつ家族が来ても800席が必要なことくらいは想定しておくべきでした。

HulaHoopS.jpgフェアウェル・パーティー
この日の夜が我々のハワイ最後の夜ということで、 NUA主催の「フェアウェル・パーティー」を実施いたしました。メイン・パフォーマーとしてジェイク・シマブクロ氏をお招きし、彼のウクレレとギター演奏をたっぷりと披露して貰いました。ジェイクの演奏を目の当たりに見て、かなりのかたが感激しておられましたし、ジェイク自身大変人懐っこく、しかも礼儀正しいので、彼のファンになったかたも多かったのではないでしょうか。


TravisS.jpg LyleS.jpg FredS.jpg Jake2S.jpg Jake1S.jpg

 当日お招きいたしましたゲストの皆様は、NUA創設者灰田有紀彦氏のご子息アラン灰田氏をはじめ、ジャズ・ウクレレの第一人者ライル・リッツ氏、NUA40周年の記念講演の講師をお願いしたジム・ビロフ氏、そのビロフ氏の製作したウクレレのビデオで妙技を披露したコスタ・メサ(カリフォルニア)在住のトラヴィス・ハレルソン氏、ハワイKZOO局パーソナリティーでジェイクの通 訳も兼ねているカズサ・フラナガン氏、さらには1920年代のヴォードヴィル・ウクレレの研究家で毎年ビショップ博物館で講師を務めているシカゴ在住のフレッド・フォーリン氏等多数のかたがたで、NUAメンバーとの交流をはかりました。

第5日(7月31日)帰国の途に
PendantS.jpg 何組かのメンバーが延泊ということで残りましたが、大半はこの朝日本へ向け出発いたしました。「万一ハリケーンが来たら飛ばない!」という情報に期待を持ったかたも居たようですが,無事出発できました。今回のツアーはわずか4泊6日の旅行ではありましたが、参加された皆様はそれぞれ充実した毎日を過ごせたことと思われますし、大きな収穫を携えて帰国されたことと思います。5年後の参加に向けてまたこつこつと勉強していきたいと思います。

 

小 林 正 巳


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