日本ウクレレ協会   
 2002年第32回ウクレレ・フェスティバル
  NUA参加ツアー報告  
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第32回ウクレレ・フェスティバルにNUA有志と友人達で参加

FestivalNUA3 私たち日本ウクレレ協会(NUA)は、ウクレレ・フェスティバルの主宰者でありNU Aの名誉会員でもあるロイ・サクマ氏から、5年ごとにこのフェスティバルに参加して 欲しいとの要請を受けており、今まで1995年の第25回、2000年の第30回のフェスティバ ルに参加して参りました。
FestivalPosterそのパターンからいくと第32回の今年(2002年)は参加の年とはなっていないのですが、関西地区の会員を中心にせめて有志として見学にだけでも行きたいという希望が出て、ついには関東、関西合計で60名ものNUA会員と家族や友人達の参加者が見込めることになり、このことをロイ氏に連絡したところ、それだけの人数が来るのであれば単なる見学ではなく是非出演してくれないかとの返事が届きました。 (写真左:ウクレレ・フェスティバルでのNUAステージ、7月28日。写真右:ウクレレ・フェスティバル・ポスター)

そこでこれを受けて急遽参加曲の選定からアレンジ・練習と準備を重ねていたところ、 ロイ氏から「実はロイヤル・ハワイアン・ホテル創立75周年記念行事としてオータサンをメイン・プレイヤーとしたウクレレの催しを予定しているのだが、そこでも演奏してくれないか」との要請がさらに舞い込みました。これに出演するためにはツアーとして の滞在を2〜3日延長しなければいけなかったのですが、またとない機会ですので参加者に諮ったうえでこれもお受けいたしました。 Governer2一方、NUA創設者である灰田晴彦(のちに有紀彦と改名)氏の獨協中学時代の同級生で、1930年代に灰田氏の結成した日本で初めての、しかも絶大な人気を誇ったハワイア ン音楽グループ「灰田晴彦とモアナ・グリー・クラブ」で灰田氏の片腕としてギター に、作詞・作曲に腕を振るった永田哲夫氏が、「青い小径(オリジナルはIn the Royal Hawaiian Hotel)」をはじめとしたたくさんのハワイアン音楽を日本に紹介した功績により、ハワイ州知事とロイヤル・ハワイアン・ホテルから表彰されるというお話をうかがい、私どもとしても全面的にバックアップをさせていただくことといたしました。 (写真左:永田氏に表彰状を渡すカエタノ知事8月7日 )

いまやハワイでは誰も知る人のない曲となってしまった「In the Royal Hawaiian Hotel」の楽譜を探し出し、この楽譜と「青い小径」の楽譜をペアにした記念の額を永田氏からロイヤル・ハワイアン・ホテルに贈呈するお手伝いをするとともに、私たちの ロイヤル・ハワイアン・ホテルでの演奏ではこの2曲をメドレーで演奏することで来場された方々にご紹介すべく練習を重ねました。今年90歳になられた永田氏は大変お元気で、表彰に対する御礼の意味で「ここはワイキキ、ロイヤル・ハワイアン・ホテル」という新曲を作曲されたばかりか、私どもNUAに対しても「いとしいウクレレ君(くん)」という曲をハワイ滞在中に作曲してくださいました。

スケジュール

「ウクレレ・フェスティバル」は7月28日(日)に開催されるので、その日を含む4泊6日のツアーを予定し(26日ハワイ着、31日帰着)、このわずか4日のハワイ滞在を有効に生かそうということで、到着した26日にはウクレレ工房とウクレレ店ツアーをした上で夜はロイ氏主催のディナー・パーティーに参加し、翌27日にはリハーサル、そして28 日はウクレレ・フェスティバル本番と夜にはNUAパーティーを開催、29日にはアラモ アナ・ショッピング・センターのセンター・ステージを1時間借り切って演奏するという盛りだくさんの計画を組みました。さらにはこの計画が組まれたあとにロイヤル・ハ ワイアン・ホテル出演(30,31両日夜)の話をお受けしたため、結果として大半のメン バーが延泊をするという珍しいツアーになりました。

コアロハ工房見学とウェルカム・ディナー

GordonMarkツアー初日の出来事はコアロハ工房とウクレレ店「PUAPUA」への訪問、そしてロイ氏 主催のウェルカム・ディナー・パーティーへの参加でした。 コアロハは1995年に創業というまだ若い会社ですが、オータサン、ロイ・サクマ両氏のアドバイスを受けるとともに発明家でもある創業者のアルビン・オカミ氏の創意工夫を 随所に盛り込んだウクレレを紹介し続けているために、現在では音色、品質ではハワイでもトップクラスの評価を得ているブランドです。我々の訪問に合わせるように見学コ ースを整備し、見学者全員にペグとコア材を組み合わせたキーホルダー制作をさせてくれたこと、そして今回は特別でしょうが先程天皇陛下にも献上されたといわれるGordonLP「The Art of Solo `Ukulele」というCDにバイロン・ヤスイ、ベニー・チョン・ジェイク・ シマブクロとともに参加しているゴードン・マーク氏のソロの生演奏まで聴かせてもらい、一同大満足でした。 (写真左:コアロハで演奏してくれたゴードン・マーク氏7月26日。)
ゴードン氏と雑談をしていたところ、氏が「幻のLP」を探していることを知りました。それは「Golden Ukulele」というタイトルで1969年にサン ズ・オブ・ハワイからリリースされる予定だったのですが、そのレコード会社の録音が 完了し、日本での発売分としてのマスターを送った直後に会社が全焼してしまったため に、ハワイでのリリースが中止されたとのこと。以後、いろいろと伝手を辿ってそのL Pを探しているのだが見つからないとのことでした。私がそのLP(日本タイトル:魅 惑のウクレレ)を持っているのでコピーすると言ったところなにしろ氏の唯一のソロ・ アルバムですので大変喜んでくださいました。 (写真右:ゴードン・マーク氏の(幻のLP)「ゴールデン・ウクレレ」)

RoySakumaDinner2 RoySakumaDinner1ディナー・パーティーでは今回ウクレレ・フェスティバルに出演するハーブ・オータ・ ジュニアとケオキ・カフモク、関口さんとIWAOさん、五十嵐さん・今村さん・加瀬さん のトリオ、カナダのラングレイ・ウクレレ・アンサンブルのリーダーであるピーター・ ルオンゴ、フルークでおなじみのジム・ビロフ、ベテランのライル・リッツその他160 名が参加者し、随所で記念撮影のフラッシュが光っていました。 (写真:ロイ氏の歓迎夕食会での記念撮影、7月26日

ウクレレ・フェスティバル当日

FestivalNUA1今回の最大の目的であるウクレレ・フェスティバルは毎年出演者と見学者の人数が増加しており、かなりの人数の私たちメンバーも早朝から座席確保のため会場へ行っていました。 出演するロイ氏の教室の生徒さんも800名を越えているようで、「板付き」になっている中級レベルの生徒220名による「フェスティバル・バンド」が出演者交替時に数多くの曲 を演奏するとともに、小学低学年、高学年、中学生から成人まで6つのグループがそれ ぞれの曲を引っさげて登場しました。これらのグループは以前「グループ#1」のよう に呼んでいましたが、今回は「Twinklers」「Strummers」「Super Boogiers」等々シャレたグループ名が付けられていました。昨年に続いて今年も出演したオータサンに敬意を表したのでしょうか、オータサンの作品とオータサンの演奏で有名になった曲を中心 にこれらのグループが演奏していました。

FestivalNUA2ウクレレ・フェスティバルはその年に話題となったミュージシャンが出演することでも有名ですが、今回もナー・ホークー賞で女性歌手賞と男性歌手賞を受賞したエイミー・ ギリオムとアーニー・クルス・ジュニア、そしてメリ−・モナークでミスアロハ・フラ の栄冠に輝いたマリア・ピータースン(マリアは彼女の所属しているバンド「キリナヘ」をバックに踊りました)達が出演しました。
(写真:ウクレレ・フェスティバルでのNUAステージ、7月28日

上記以外の出演者としてはサモア・セブンのリーダー柳川さんが指導されている「サモ アン・ウクレレ・グループ」、常連のライル・リッツ、そして今年で連続9年参加でますますレベルが向上したカナダのラングレイ・ウクレレ・アンサンブル、五十嵐さんの トリオ、関口さんとIWAOさん、オータ・ジュニアとケオキ、そしてオータサンほか多数がたっぷり4時間近く演奏しました。そして昨年まで常連として出演していたモ エ・ケアレが今春亡くなったため夫人のキャロルと従兄弟たちに感謝状を贈呈するセレモニーも行われました。

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写真左から:ウクレレ・フェスティバルでの「背中演奏」、「子供達の演奏」、「2人羽織演奏 」
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写真左:エイミー・ギリオムとアーニー・クルスJr[右]このふたりは今年のナー・ホークー賞の女性歌手賞、男性歌手賞の受賞者。写真中左:今年のミス・アロハ・フラと彼女の所属するキリナヘ。写真中右:五十嵐、今村、加瀬トリオの演奏。写真右:関口、IWAO両氏の演奏。

私たちの曲目は「カハクロア」と「カ・ウア・ロク」といういずれも速い曲でしたが、 特にカハクロアは以前モエ・ケアレのグループをバックに踊っていたミカ・ゴトーさん に振り付けと踊りを依頼し、我々の演奏に華を添えていただきました。

NUAパーティー

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写真左:NUAパーティーでのNUAグループ演奏。写真中:NUAパーティーで灰田さんの長男アラン氏と再会した永田氏(と私)。写真右:NUAパーティーで演奏する永田氏。

フェスティバル当日の夜に開催されたNUAパーティーには灰田氏のご子息アラン氏をはじめ、たくさんのゲストをお招きし、会員の友人でもあるブライアン・トレンティー ノの演奏もしっかりと堪能いたしました。ブライアンが連れてきた「音楽仲間」にビッ クリしました。なにしろひとりはキリナヘのギターでもうひとりはアレアのベースでしたから! そしてこの会では永田氏もウクレレ演奏をご披露くださり、とても90歳とは思えない熱演に一同も大変感激いたしました。これに応えて私たちも永田氏の最新作「ここはワイキキ、ロイヤル・ハワイアン・ホテル」を演奏いたしました。なんでも米西海岸にお住まいの氏のお孫さんがこの歌詞を英訳されるとか、また楽しみが増えました。

アラモアナ演奏

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(写真:NUAのアラモアナ・ショッピングセンターでの演奏風景と見物の人々、7月29日)

アラモアナ・ショッピング・センターでの演奏は以前から是非挑戦したいと思っていましたが、今回関係者のご尽力により実現することができました。なにしろ1時間という 長丁場ですので、レパートリーを揃えるだけでも大変でしたが、関西からのメンバーの 皆さんが中心となって曲をまとめ、カリリモク中島さんのフラも交えて無事に完了、暖かい拍手を頂くことができました。

ロイヤル・ハワイアン・ホテルでの行事

RoyalStageRoyalCeremony創設75周年を記念した催し「`Ukulele, The Legend Continues」にはウクレレ・フェス ティバルに出演したグループの中から、関口さんとIWAOさん、ハーブ・オータ・ジ ュニア、ラングレイ・ウクレレ・アンサンブルそしてオータサンとナンド・スワンが出演し、私たちも前座として出させていただきました。ここではミカさんとカリリモク中島さんのほかにミカさんのアシスタントの樹村さん、村松さんにもフラで参加していただきましたので、大変華やかなステージとなりました。 (写真左:ロイヤルハワイアンホテルでのNUA演奏、7月30日。写真右:永田氏からロイヤルハワイアンホテルへ「青い小径」楽譜入り額の贈呈式。)

RoyalHawaiianPosterここでのステージはウクレレ・フェスティバルとは異なり、それぞれのグループがたくさんの曲を演奏しましたので、じっくりと楽しむことができました。特にラングレイと オータサンの演奏はそれぞれの持ち味を十分に出していて、ウクレレの魅力を再認識いたしました。 この催しは30,31の両日開催され、30日には永田氏からの「青い小径」「In the Royal Hawaiian Hotel」楽譜の贈呈とこれに応えてホテルからの記念品贈呈の式が行われました。また翌31日にはオータサンの先生でもあり、サンズ・オブ・ハワイのリーダーでもあったエディー・カマエの出席に、オータサンをはじめ皆さんがエディー氏に敬意を表していました。 (写真右:ロイヤルハワイアンホテルのイベントのポスター)

カエタノ知事からの表彰とKZOO局インタビュー

Keiko&NagataKZOO以上の催しに加えて、永田氏の長年にわたるハワイ音楽を通じてのハワイと日本の交流 に尽力した功績を讃えた表彰状が8月7日にハワイ州のカエタノ知事より永田氏に授与さ れ、この日を「永田哲夫の日」と定める旨の紹介が知事よりありました。また、ハワイ の日本語放送局KZOOでも永田氏へのインタビューが行われ、ハワイ全島にその様子が放送されました。
(写真左:KZOO放送局での永田氏とケイコ氏(と私)、7月29日)

今回のツアーに関連して極めてたくさんの皆様のご協力を頂きましたことを心から御礼申し上げます
2002年8月 小 林 正 巳


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